ハイブリッド車であるプリウスは、モーターでブレーキをかける『回生ブレーキ』のおかげで、従来のクルマから備わる油圧ブレーキの出番が少ないことが特徴です。そんなプリウスではブレーキの強化は必要なくも感じますが、ブレーキがしっかりと作動することは非常に重要です。今回はそんなブレーキ強化の一例を紹介します。

もしもの時に必要なこと。

今回ご依頼いただいた作業は、ブレーキローターとブレーキパッドの交換です。こちらのお客さまのようにホイールのインチアップを行うと、少しですがブレーキの効きに頼りなさを感じます。写真のホイールは比較的軽量な部類ではありますが、重量級のホイールを装着されている方はなおさらブレーキが弱く感じるのではないでしょうか？

プリウスの機械的なブレーキが動作する主なシチュエーションは、停車する寸前、下り坂でハイブリッドバッテリーが満タンに充電され、これ以上回生ブレーキが使用できないとき、そして最もブレーキの効きが重要になる『急ブレーキ』をかけた時です。

交換前のブレーキパッドやローターがすぐに交換が必要であったわけではございませんが、今回は予防的に部品の交換とアップグレードを行います。

最適なパーツを最適な方法で。

今回お客さまが選ばれたパーツが、Dixcel のSDタイプのブレーキローターと、Mタイプのブレーキパッドです。SDタイプのローターには、スリットと呼ばれる溝が掘られていて、制動力の向上と、スポーティな見た目も手に入れることができます。

ブレーキパッドのMタイプは、ブレーキダストを低減しつつ、純正品よりも効きが良くなっている商品です。

これらを簡単に組み付けるわけではなく、最適な部分にグリスアップをおこなったり、汚れがひどい部分は清掃を行いながら進めていきます。使用する油脂類なども、様々なものを試した上で、現状のものに落ち着きました。プリウスのブレーキは重要なシーンで活躍しますが、普段は出番が少ないのも特徴です。出番が少ないからこそ気をつける部分もあって、この辺りのさじ加減やノウハウも我々としては強みに感じています。

全ての作業が終わり、無事に納車です。シルバーのホイールに、清潔感のある新品のブレーキローターが際立ちます。今回のお客さまは長くプリウスに乗り続けたいということで、所有されてから少しづつリフレッシュを続けていただいております。今回のような予防整備を繰り返していけば、必ずクルマが答えてくれます。壊れてからの修理ではなく、調子が悪い部分の現状を把握し、より良い状態で乗り続けていただければと思います。

最後になりましたが、今回のお客さまには三重県よりお越しいただきました。この度はご来店誠にありがとうございました。いつ見てもお車が綺麗で、輝いて見えます。元々ベース車両の状態も良いイメージですが、お客さま自身の努力あっての状態だと思います。30系プリウスも発売から年月が経ち、これからは綺麗に保たれている車両の価値が高まります。外観のお手入れ、機関系のメンテナンス、気になるかたはお気軽にご相談ください。よろしくお願いいたします。

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