『プリウスの限界を探る』30プリウス、走行距離40万kmの車両が入庫しました。
『プリウスってどのくらいの距離まで乗れるんですか?』ここ最近聞かれる事が多いご質問です。そんな中、貴重な事例となるお客様にご来店いただく事ができましたので、紹介させて頂きたいと思います。
『プリウスの限界』とは。
今回ご来店いただいたお客様のプリウスは走行距離40万km目前、当店に今までご入庫いただいたお客様の中でもトップ3に入る走行距離です。日本では走行距離10万kmが一つのターニングポイントであるという文化が根付いている感じもございますが、プリウスにとっては通過点にすぎない数字かと思います。
燃費の良さのメリットは走行距離をたくさん走る場合に多く出ますので、今回のお客さまのような使用環境の方にとっては、まさしくぴったりと言えます。では、40万kmもの距離を重ねてきたプリウスの状態はどうでしょうか。今回は当店でも定番メニューとなっている吸気系のリフレッシュ作業を行なっていきます。
40万kmの積み重ね。
まずは30系プリウス定番のEGRバルブの清掃からです。写真の通りでビッシリとカーボンが堆積しています。このような汚れがバルブの動作を妨げ、異音が発生する原因となります。
EGRバルブの先、インテークマニホールドの入り口です。こちらにもカーボンがビッシリと堆積しています。
EGRバルブは排気ガスが戻る部分なので、基本的には汚れやすい部品です。上の写真はガソリンを噴射するインジェクター周辺の汚れです。プリウスはエコカーである故に、排気ガスを綺麗にするための工夫が各所に施されています。その為にエンジン吸気系や燃料系統に一般的なクルマ以上の汚れが堆積する傾向にあります。40万km積み重ねられた汚れは厚みがあり、清掃にはいつもより時間を要しました。
こちらは細かい部分ですが、PCVバルブという部品です。この部品の役割は、ブローバイガスという汚れた空気を吸気系に戻す際に逆流を防ぐものですが、走行距離を重ねて汚れが溜まり、動きが悪くなるとエンジン内の圧力に異常が起きる為、エンジンオイルが減少してしまうなどの不具合が生じます。こちらは異ンテークマニホールドを清掃するついでに交換です。
40万km走行していることもあり、エンジンからのオイル漏れも見られました。30系プリウスのエンジンオイルは粘度0w-20が標準となりますが、走行距離を重ねることでエンジン内部の細かいクリアランスが大きくなることを考えると、途中で0w-30、5w-30など粘度が少し高いオイルに変更していくこともお勧めです。これだけでオイル漏れのリスクが完全になくなる訳ではありませんが、油膜の保護を高める上ではお勧めです。40万kmを超えても定期的なオイル交換をしていれば大きなトラブルのリスクは少ないのもプリウスの大きな魅力です。ただ、乗り方や使用環境によって耐用距離数は異なると言えます。こちらの車両のように、オイル漏れ等のトラブルを避けることは難しく、過走行車とはそれなりの覚悟と愛情を持って接していく必要があると言えるでしょう。
長く乗り続けるという選択。
今回ご来店いただいたお客様には、岡山県真庭市からご来店いただきました。グレードは前期のGツーリングセレクション レザーパッケージ、外観からは40万km走行されていることを感じません。最高グレードであることもあり、お客様が気に入って乗られている事も伺えます。
昨今では当店へ『30プリウスが好きでまだまだ乗り続けたい』というお客様のご来店も多くなりました。新型60系プリウスが発売された今でも、30系のスタイリッシュなフォルムやトラブルの少なさ、アフターマーケットパーツの充実性や中古パーツの流通量など、気軽に乗れるモデルである上に最新車種に劣らない低燃費、自分流にカスタムしてカーライフを楽しめる要素が多いことなど、まだまだ魅力が衰えることは無さそうです。
40万km走行されたお客様から学ぶことは多く、これからも限界を求めて可能な限り乗り続けていただければと思います。この度は遠方からのご来店誠にありがとうございました。
この投稿へのトラックバック
トラックバックはありません。